ルノー・スポールが手がけた小さな2シーター・ロードスター。回転式のユニークな開閉ルーフを備えた、希少で愛らしいオープンカー。
全長3,833mmという小柄な二座のオープンカー。トゥインゴを基礎に仕立てられたこの車は、前にエンジンを積み前輪を駆動するという日常車寄りの素性を持ちながら、屋根の仕掛けひとつで性格を大きく変える一台だった。最大の見どころは、一枚物の金属ルーフが後方へ180度回転し、リアパネルの下へ裏返しに収まる電動ハードトップ。開閉はおよそ12秒で完了し、ルーフと機構を合わせた重量は21.8kgと軽く、一般的なハードトップの五分の一程度に抑えられていた。この機構はフェラーリのスーパーアメリカが用いた回転ルーフの技術に着想を得たものとされる。
ウインドが姿を現したのは2010年。同年2月に生産が発表され、ジュネーブモーターショーで市販型が公開された。車名のとおり風を感じる小さなロードスターとして企画され、全長3.83mというサイズは、トゥインゴ(約3.60m)とクリオ(約4.03m)のちょうど中間に位置づけられていた。ドアハンドルやワイパー機構などにトゥインゴ譲りの部品が見てとれ、そのコンパクトな素性が随所に残されている。
欧州では、マツダMX-5(ロードスター)やプジョー206CCといったオープン勢より手頃な価格で投入されたものの、販売面で大きな成功を収めるには至らなかった。回転ルーフという話題性で注目を集めながらも台数は伸びず、2013年に市場から退いている。所有者の評価は分かれ、独創的なルーフや軽快な身のこなしを好む声がある一方、走行中の風の巻き込みや騒音、後方視界を指摘する声もあった。
日本へは2011年7月に導入された。搭載されたのは1.6リッター直列4気筒の自然吸気エンジンで、最高出力はおよそ134psあたり。トゥインゴ ルノー・スポールと共通の心臓であり、組み合わされるのは5速MTのみ、ハンドルも左のみという、趣味性に振り切った構成だった。短い販売期間で世代交代やマイナーチェンジを経ることなく役目を終えたため、前期と後期といった区別は持たない。
兄弟をたどればトゥインゴに行き着く小さな一台だが、屋根を開け放ったときの開放感と、回転ルーフという他に例の少ない仕掛けにこそ、この車の存在意義があった。販売台数が限られたぶん中古市場での出会いも多くはないが、フランス車らしい割り切りと遊び心を、二人ぶんの空と一緒に味わえる入り口になりうる存在だ。
| ボディサイズ | 全長3,822 × 全幅1,698 × 全高1,415mm |
| エンジン | 1.2L 直4ターボ / 1.6L 直4 |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 2名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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