堅牢なボディと欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞の実力を備えた3代目ルーテシア。ルノー・スポールが鍛えたR.S.は、FFスポーツの名作として名高い。
ルノーのコンパクトカー、ルーテシアの三代目にあたる世代である。先代までの軽快で親しみやすい性格は受け継ぎつつ、ボディは一回り大きくなり、ホイールベースの延長によって室内や荷室の余裕が増した。丸みを帯びた愛嬌のある表情と、必要十分にまとめられた内装は、派手さよりも日常のなかでの心地よさを優先した作りで、欧州の生活道具としてのコンパクトカーらしさが色濃く出ていた。
ルーテシアは欧州ではクリオの名で知られ、本国名でのこの三代目は2005年のフランクフルトモーターショーで発表された。翌2006年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。クリオとしては初代が獲得した1991年に続く二度目の戴冠で、当時としては同賞を二度受けた初めての車となった。あわせてユーロNCAPの衝突安全試験では、このクラスで初めて最高ランクの5つ星を獲得しており、安全性能の高さも評価された一台だった。
欧州では超小型車の枠を代表する売れ筋として広く普及し、クリオの名はフォルクスワーゲン・ポロやプジョー208(当時は206、207)らと市場を分け合う定番として定着していた。質感と安全性を一段引き上げたこの世代は、コンパクトカーの底上げに寄与した存在として記憶されている。
日本へは2006年3月に上陸した。当初の前期型は1.6リッターの直列4気筒DOHCを積み、最高出力はおよそ111ps。これに4速ATを組み合わせ、駆動方式はFFとされた。輸入コンパクトとしては多彩なボディカラーが用意され、毎月異なる色を軸にした特別仕様車を設けるなど、選ぶ楽しさを前面に出した売り方も特徴だった。新車価格はおおむね194万円台から、上級仕様で380万円台にまで及んだ。
2010年3月にはマイナーチェンジを受け、後期型へと移行する。フロントの表情が新しくなり、ドアミラーの大型化など視界まわりにも手が入った。ダッシュボードにソフトな素材を用いて内装の質感と衝突時の安全性を高め、ESPを標準装備とするなど装備面も充実。プラットフォームや1.6リッターエンジンといった基本骨格は引き継ぎつつ、パワーステアリングやエンジン、ATの制御を細かく煮詰めた、見た目以上に中身の進んだ改良だった。
スポーツ志向の頂点には、2リッター自然吸気エンジンを202psまで高めて6速MTと組み合わせた3ドアのルノー・スポールが用意され、日本へは2009年に導入された。一般的なグレードは、フランス車に初めて触れる人にとっても扱いやすい入り口となり、現在は手頃な価格帯の中古車として、独特の乗り味とデザインを気軽に味わえる世代となっている。
| ボディサイズ | 全長4,032 × 全幅1,720 × 全高1,497mm |
| エンジン | 1.2・1.6L 直4 / 2.0L(R.S.) |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 5名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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