ルノー上級セダンとして輸入された、ゆとりあるEセグメント・サルーン。落ち着いた装いと快適な後席で、フラッグシップらしい居住性を備えていた。
ルノーが上級セダンとして送り出したラティチュードは、派手さで主張するのではなく、落ち着いた佇まいで質を語ろうとした一台である。グリルやウインドウまわりに用いられたクロームの加飾、長いホイールベースが生む後席の広さ、そしてブラックやベージュの内装色が選べる仕立てなど、控えめながら大人びた室内空間を志向していた。鋭さよりも穏やかさを優先した、保守的とも言えるエグゼクティブ・セダンの個性を持つ。
このクルマは、2009年に生産を終えたヴェルサティスの後を継ぐ、ルノーのフラッグシップとして位置づけられた。2010年6月に発表され、同年8月のモスクワ国際モーターショーでお披露目された後、パリサロンを経て市場へと送り出されている。車台はルノー・日産が共同開発したDプラットフォームで、韓国ルノーサムスンが手がけた三代目SM5を下敷きとする成り立ちだった。市場によってはルノー・サフランの名で売られた点も、このモデルの出自の複雑さを物語っている。
動力は欧州ではガソリンとディーゼルが用意され、2.0リッターのガソリン仕様は0-100km/h加速を9.3秒、最高速度205km/hとされた。価格は欧州でおよそ3万3000ユーロから、オーストラリアでは3万6990ドルからという水準だった。
しかし欧州での販売は厳しかった。Dセグメントのセダンは競合がひしめく激戦区で、ラティチュードの登録台数は2011年の1万718台をピークに、翌2012年には2338台へと急減。以降も振るわず、2015年までの総数はおよそ1万4500台にとどまった。むしろ韓国やアジア市場でSM5として支持された色合いが濃い。なお日本では正規販売されておらず、国内で見かける機会はほとんど無い。
2013年にはマイナーチェンジを受け、LEDのデイタイムランニングランプを備えた新しいヘッドライト、手直しされたグリルとバンパー、リアまわりの意匠変更などが施された。ただし販売の流れを大きく変えるには至らず、2016年に登場したタリスマンへとフラッグシップの座を譲って役目を終えている。控えめな存在ゆえに語られる機会は多くないが、ヴェルサティスからタリスマンへと続くルノー上級セダンの系譜を知るうえで、間をつなぐ一台として記憶に残るモデルだ。
| ボディサイズ | 全長4,897 × 全幅1,832 × 全高1,483mm |
| エンジン | 2.5L V6 |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 5名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
この図鑑に直したい・足したい情報がありますか? 編集部に提案する →