カングーの全長を伸ばし、3列7人乗りを可能にしたロング版。広い室内と道具感はそのままに、多人数・大荷物に応える。
フランスの実用車という枠を、もう一段おおらかに広げた一台がグランカングーである。標準のカングーが持つ角張った愛嬌をそのままに、車体を後方へ伸ばし、3列シートの7人乗りを成立させた。観音開きや跳ね上げ式ではなく、左右に大きく開く両側スライドドアを備えるのが特徴で、その開口幅はおよそ830mmと広い。荷物を満載しても、子どもや道具を積み込んでも、まだ余白が残るような懐の深さが、このクルマの素性をよく表している。
カングーの名は古い。初代は1997年に本国で登場し、日本へは2002年に上陸して、商用バンの実用性を乗用に開いたコンパクトMPVとして独自の支持を集めてきた。3列シートを持つロングボディの「グランカングー」自体は新しい発想ではなく、欧州では2012年7月から7人乗り版が設定されている。現行のグランカングーは3代目カングーをベースに、ホイールベースとキャビンを延ばして生まれた世代にあたる。
欧州では2023年のIAAモビリティ(ミュンヘン)で公開され、ガソリン、ディーゼル、そして完全電動のE-Techエレクトリックまでを揃える構成で登場した。SUVに流れがちなファミリー層に対し、背の高いMPVという原点から実用性で応える一台として位置づけられている。標準のカングーに対して全長はおよそ420mm長い4,910mm、ホイールベースは3,100mmに達し、3列目でも膝まわりに余裕を残す室内寸法を確保している。
シートアレンジの自由度がこのクルマの核心である。2列目と3列目は独立式で、スライド、たたみ込み、取り外しが個別に行え、座席をすべて外せば荷室は大きく拡大する。日本では2023年の「カングー ジャンボリー」で初公開され、その後の導入が予告された。動力は1.3リッターのガソリンターボに7速EDC(自動変速)を組み合わせる仕様が中心とされる。
日本市場では2026年2月に特別仕様車「グランカングー クルール」が発売され、価格は459万円とされた。ボディカラーに「ベージュサハラ」をまとうなど、カングーらしい遊び心を前面に出した一台である。実用一辺倒でも、いわゆる高級ミニバンでもない、道具としての素朴さと積載力を求める人にとって、フランス車ならではの選択肢になりうる。
| 新車価格帯 | 449〜479万円 |
| ボディサイズ | 全長4,910 × 全幅1,860 × 全高1,838mm |
| ホイールベース | 3,100mm |
| 車両重量 | 1,640kg |
| エンジン | 1.3L直4ターボ / 1.5L直4ディーゼルターボ |
| 最高出力 | 130ps |
| 変速機 | 7速EDC(AT) |
| 駆動方式 | FF |
| 燃費(WLTC) | 14.8km/L |
| 乗車定員 | 7名 |
| 荷室容量 | 775L |
※輸入元の公式情報を基に編集部が掲載しています
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