日本でカングー・ブームを決定づけた先代。丸目の愛嬌と気取らない実用性で、今も熱心なファンが多い。
丸みを帯びた背の高いボディに、上下に長い涙滴形のヘッドライトを高い位置へ配した先代型の顔つきは、いまも多くの人がカングーらしさとして思い浮かべる表情だろう。両側に備わるスライドドアと広い窓がもたらす明るく開放的な室内は、商用バンを出自に持つ素性ゆえの実用一辺倒ではなく、どこか肩の力の抜けた愛嬌をまとっていた。荷物も人も気負わず積める懐の深さと、丁寧に乗ればきびきびと走る素直な身のこなしが、この世代の個性をかたちづくっていた。
カングーは、商用車と乗用車の良さを併せ持つ「ルドスパス」と呼ばれる空間づくりを掲げてきた一台である。2代目は2008年に欧州で登場し、丸みのあるシルエットと親しみやすい顔立ちという初代以来の性格を受け継いだ。日本へは2009年9月に上陸し、その後2022年まで長く販売される息の長いモデルとなった。
欧州では商用バンと乗用ワゴンの双方で広く使われ、生活と仕事の両面を支える道具として定着していた。フランス本国を中心に堅実な販売を重ね、後発のライバルが増えてもこのジャンルの代表格として位置づけられ続けた一台である。
日本で売られた前期型は、1.6リッター直列4気筒(最高出力105ps)を積み、5速MTと4速ATが用意されていた。先代より一回り大きくなった3ナンバーのボディは、その全幅から「デカングー」の愛称でも親しまれた。
2013年8月にはマイナーチェンジを受け、ヘッドライトやグリルなどフロントまわりのデザインが改められた。2014年以降は1.2リッターターボと6速のデュアルクラッチ式AT(EDC)が導入され、走りと扱いやすさが一段と洗練されていく。終盤の2021年には1.5リッターのディーゼルターボを積む限定車も設定された。
シトロエン・ベルランゴやプジョー・リフターといった同じ成り立ちの競合と肩を並べる存在でありながら、丸目フェイスの愛嬌で独自のファンを育ててきたのが2代目カングーである。現在は中古車が主な入手先となるが、肩肘張らない道具としての懐の深さは、輸入車やフランス車に初めて触れたい人にとって今も親しみやすい入り口でありうる一台だ。
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