C5 X

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CITROËN C5 X

#C5 X

セダン・ワゴン・SUVを融合させたシトロエンのフラッグシップ。ARヘッドアップディスプレイと「魔法の絨毯」を継承するPHCサスペンションで、長距離を楽に走る。

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セダンの優雅さ、ワゴンの積載性、SUVを思わせる視界の高さ。C5 Xは、その三つを一台に溶かし込もうとしたクロスオーバーである。なだらかに傾斜したルーフから後端へと流れるシルエットは、どのカテゴリーにもきれいには収まらない。だがシトロエンらしさは、見た目以上に乗り味に宿る。全車に標準装備されるプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)は、ダンパーの中にもう一つのダンパーを組み込んだ構造で、通常の領域はあくまで柔らかく、深く沈み込むほど踏ん張る。かつて「魔法の絨毯」と称されたハイドロニューマチックの世界観を、現代の機構で読み替えた乗り心地だと評される。

車名の末尾に置かれた「X」には意味がある。CXやXM、そしてC6へと続いてきた、シトロエンの大型フラッグシップの系譜を受け継ぐという宣言である。宇宙船を思わせるドーム型のキャビンや、移動の質そのものを問うという姿勢は、それら歴代の上級モデルと地続きにある。プラットフォームはEMP2で、CXが積んだハイドロニューマチックの思想がPHCへと形を変えて流れ込んでいる。

C5 Xはまず2021年に中国で登場し、欧州へは2022年に投入された。2022年のグローバル販売はおよそ5万4400台で、前年から大きく伸び、シトロエンが見込んでいた水準を上回ったとされる。その内訳をみると中国市場が4万6000台超と大半を占め、欧州ではDセグメントのサルーンとしてフランス国内首位に立った一方、台数そのものは限られていた。個性の強さは評価されつつも、セダンでもワゴンでもSUVでもない立ち位置が、広い支持には結びつきにくかった側面もある。

日本には2022年10月に上陸した。ガソリン仕様は1.6リッターの直列4気筒ターボ(最高出力180ps)に8速ATを組み合わせ、上級のプラグインハイブリッドはモーターを加えてシステム合計225ps、WLTCモードでのEV走行換算距離はおよそ66kmとされる。グレードはガソリンのSHINEとSHINE PACK、そしてPLUG-IN HYBRIDが用意された。

欧州では右ハンドル仕様の生産が2025年5月で終わり、英国市場からは姿を消した。直接の後継は設けられず、フラッグシップの役割はC5エアクロスへ引き継がれていくと説明されている。短命とも言える歩みだが、それは扱いやすさや空間の広さに対して価格が抑えられていた点を含め、独自路線を貫いた一台であったことの裏返しでもある。

国産のセダンやSUVに長く乗ってきた人が、速さや数値ではなく移動そのものの心地よさで車を選び直したくなったとき、C5 Xはその気持ちに静かに応える入り口になりうる。何かと比べて優劣を競うより、シトロエンという独特の価値観に触れてみる一台として記憶されていくだろう。

基本情報(価格・スペック)を見る
新車価格帯484〜636万円
ボディサイズ全長4,805 × 全幅1,865 × 全高1,490mm
ホイールベース2,785mm
車両重量1,520kg
エンジン1.6L直4ターボ / PHEV
最高出力180〜225ps
変速機8速AT
駆動方式FF
燃費(WLTC)13.3km/L
乗車定員5名
荷室容量545L

※輸入元の公式情報を基に編集部が掲載しています

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