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シトロエンのフラッグシップSUVの初代。樹脂パネルで囲った塊感のあるデザインと、アドバンストコンフォートシート+PHCサスペンションによる『魔法の絨毯』のような快適な乗り味が魅力。日本ではガソリンとディーゼル(BlueHDi)が選べた。
分厚い樹脂パネルで四隅を固めたボディは、SUVらしい塊感をまといながらも、どこか肩の力が抜けている。シトロエンが「アドバンストコンフォート」と名づけた思想がこの一台の核で、プログレッシブ・ハイドローリック・クッションと呼ぶ独自のサスペンションが、路面の凹凸を角が取れた揺れに変えて伝える。座面の表層に低反発材を仕込んだアドバンストコンフォートシートと合わせ、走りの速さよりも、乗っている時間の心地よさに価値を置いた一台である。
C5エアクロスは、シトロエンにとってブランドの方向性を示す存在だった。2017年の上海モーターショーでまず中国市場向けに公開され、欧州へは2018年のジュネーブモーターショーでお披露目された。プラットフォームはPSAグループのEMP2を採用し、ホイールベースは2730mm。プジョー3008と5008の中間にあたる骨格を持つ。
欧州では快適性を前面に押し出した個性が受け入れられ、初代は世界でおよそ32万5000台、うち欧州でおよそ24万5000台を販売したとされる。スポーティな身のこなしを求める層には物足りないという声もあったが、家族での長距離移動や荒れた路面での当たりの柔らかさは、多くの試乗記で高く評価された。
日本へは2019年5月28日に上陸した。シトロエンにとって日本市場初のSUVであり、導入時は2.0リッターのクリーンディーゼル「BlueHDi」を積む一本立てで、最高出力177ps、最大トルク400Nmを8速ATと組み合わせた。価格は424万円。後席は3座独立で前後にスライドし、実用性の面でも家族向けの配慮が行き届いていた。その後、ガソリン車やプラグインハイブリッドも加わっている。
2022年11月、初代は大きな改良を受ける。丸みを帯びていた前期型の顔つきは、より直線的でモダンな造形へと改められ、中央に独立したダブルシェブロン、そこから左右へV字に伸びる新世代のシグネチャーライトをまとった。内装ではブルーのステッチが差し色として加わり、センターコンソールにシフトセレクターを移したことで小物入れの容量も広がった。
兄弟関係にあたるのはプジョー3008や5008で、同じ骨格を持ちながら、シトロエンは速さや先進感よりも快適性へと振り切った点で性格が分かれる。中古市場では手の届きやすい価格帯に降りてきており、フランス車ならではの乗り味を、肩肘張らずに味わってみたい人にとっての入り口となりうる一台だ。
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