大きなガラスルーフと多彩なシートアレンジで人気を集めたシトロエンのMPV。開放感あふれる室内と先進的なセンターメーターが、家族の移動を上質にした。
フロントウィンドウが頭上まで大きく回り込み、Aピラーごしに空が広がる。C4ピカソの個性は、この明るく開放的な室内に集約されていた。シトロエンが得意とする快適志向のミニバンであり、ダッシュボードの奥行きを生かして計器をセンターに配したレイアウトや、ゆったりとした乗り心地は、当時の実用ミニバンとは異なる空気をまとっていた。スペックで競うのではなく、移動の時間そのものを和らげる方向に振った一台だったと言える。
ピカソの名は、画家パブロ・ピカソの遺族財団との契約に由来する。初代「クサラ ピカソ」に続く流れのなかで、ハッチバックのC4を基にしたミニバンとして2006年から2007年にかけて欧州で登場した。先に5+2の7人乗りであるグランドC4ピカソが、続いて5人乗りのC4ピカソが発表されている。グランドC4ピカソは英国のWhat Car? Awards 2007でベストMPVに選ばれ、二代目もまた2014年の欧州MPVオブザイヤーを受賞した。実用車でありながら評価の高いモデルだった。
日本への上陸は2007年5月。このとき導入されたのは7人乗りのボディで、日本では車名を「C4ピカソ」としていた。動力は2.0リッターの直列4気筒ガソリンエンジンで、最高出力はおよそ143psとされる。最大の見どころはパノラミック・フロントウィンドウで、垂直方向の視界は一般的なミニバンの2倍にあたる70度に達し、上縁が大きく後退した独特の視界を生んでいた。電動サンブラインド付きのガラスルーフを組み合わせる設定もあり、ガラス面積はクラス最大級をうたっていた。
二代目は2013年にPSAの新世代プラットフォームEMP2を得て一新され、日本へは2014年10月に上陸した。当初は1.6リッター直噴ターボガソリン(最高出力165ps)と6速ATの組み合わせのみで、新車価格はおよそ347万円から372万円。2016年のマイナーチェンジでは2.0リッターのBlueHDiディーゼルターボ(最高出力150ps)が追加され、選択肢が広がった。なお2018年には、ピカソの名称契約が更新されなかったことから、車名はC4スペースツアラー/グランドC4スペースツアラーへと改められている。
国産ミニバンの定番とは違う価値観を持ち、室内の明るさと乗り味の柔らかさを軸に据えたモデルだった。販売は終了し現在は中古車での出会いになるが、フランス車らしい快適性とデザインに触れてみたい人にとって、当時の空気をそのまま伝えてくれる一台と言える。
| ボディサイズ | 全長4,428 × 全幅1,826 × 全高1,610mm |
| エンジン | 1.6L 直4ターボ / 2.0L 直4ディーゼル |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 5・7名(グランド) |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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