ドアの“エアバンプ”で個性を主張した、肩の力が抜けたクロスオーバー。軽い車体とやわらかな乗り味で、シトロエンの遊び心を体現した。
シトロエンのなかでも、ひときわ肩の力が抜けたクルマだった。最大の目印は、ドア下まわりに張り出したエアバンプと呼ばれるポリウレタンのパネルである。駐車場でのドアパンチや低速での擦り傷を受け止めるための装備で、その独特の意匠がそのままデザインのアクセントになっていた。内装も飾り立てず、旅行カバンの取っ手を思わせるドアハンドルや、ソファのようにゆったりとしたシートで、家のリビングのような居心地を狙っていた。
ベースとなったコンセプトカーは2013年のフランクフルトショーで披露され、市販版のC4カクタスは2014年のジュネーブショーで登場した。生産はスペイン・マドリードの工場で始まり、同年6月にフランスから販売が開始されている。翌2015年にはニューヨークで「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、その個性的なスタイリングは国際的に高く評価された。
欧州ではデビュー当初から好意的に迎えられた。実用性と軽さを優先し、見た目だけのクロスオーバーとは一線を画す一台として支持を集めている。
日本へは2016年10月、初回限定200台として238万円から導入された。搭載されるのは1.2リッターの直列3気筒エンジンで、変速機にはセンターパネルのボタンで操作する5速セミAT(ETG5)を組み合わせていた。ボディサイズは全長4155mm、全幅1735mm、全高1530mmと取りまわしやすい寸法にまとめられている。
2018年には大きな改良を受けた。前後の表情はシェブロンから伸びるLEDデイタイムランプや新しいグリルによって整理され、エアバンプは薄く小さくなってドア下部へと移された。同時に、ばねとダンパーの動きをやわらかく受け止めるプログレッシブ・ハイドローリック・クッションサスペンションと、高密度フォームを用いたアドバンスト・コンフォートシートを採用し、シトロエンが掲げる乗り心地の世界をいっそう前面に押し出している。
クロスオーバー風の装いをまといながら、その本質はあくまで快適さと個性を楽しむためのハッチバックだった。同時期のC3とも近い思想を共有しており、流行のSUVらしさよりも、毎日の移動を肩肘張らずに過ごしたい人に響く一台だった。今となっては中古でしか出会えないが、フランス車ならではのおおらかさを気軽に味わえる入り口として、独自の存在感を残している。
| ボディサイズ | 全長4,170 × 全幅1,710 × 全高1,480mm |
| エンジン | 1.2L 直3 |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 5名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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