前席から後席までを覆う大きなパノラマガラスルーフが象徴の、307のステーションワゴン。明るく開放的な室内と使い勝手のよいラゲッジで、家族の道具として親しまれた。実は3列シートで定員7人であるだけでなく、2列目と3列目のシートは取り外すことができ、超広大なラゲッジスペースを作り出すことも可能だった。
307SWを語るうえで欠かせないのが、フロントウィンドウから後席上部までを覆う大判のパノラミックガラスルーフである。1.33平方メートルにおよぶガラスが頭上一面に広がり、ステーションワゴンというより、ガラス張りの空間に座っているような開放感を生んだ。屋根のルーフバーやガラスの面積が与える明るさは、当時の実用ワゴンのなかでも際立った個性であり、いまも307SWを記憶に残す理由となっている。
車名の系譜は、長く欧州で支持されたプジョー306の後継として2001年に登場した307に始まる。ハッチバックとして世に出た307は2002年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、その年に派生車としてSWとブレークが加わった。SWは2列目と3列目に脱着式の独立シートを備え、最大7人乗りとなる多用途性を持ち、単なる荷室の広いワゴンを超えたミニバン的な使い方も想定していた。
欧州ではプジョーの伝統であるワゴン系譜の一台として、ファミリー層や実用志向のユーザーに向けて広く展開された。手頃なCセグメントの車体に多彩なシートアレンジとガラスルーフの開放感を組み合わせた構成は、欧州の生活に根ざした堅実な選択肢として受け止められていた。
日本へは2002年8月に上陸した。前期型の中心となったのは2.0リッター直列4気筒(最高出力137ps)に4速ATを組み合わせた仕様で、価格はおよそ276万円から始まった。右ハンドルが用意され、輸入ワゴンとしては手の届きやすい一台だった。
2005年にはマイナーチェンジを受け、後期型へと移行する。フロントには上級セダン407に通じる新世代のプジョー顔を採用し、大きなグリルを備えた表情へと一新。内装の質感や装備も見直され、左右独立エアコンなどが加えられた。日本でも同年10月に改良が反映されている。
兄弟には3列7人乗りのSWのほか、ハッチバック、電動格納ルーフを持つクーペカブリオレの307CCが存在した。307シリーズは2008年に後継の308へと引き継がれ、生産を終えている。現在は中古車として流通する一台であり、独特のガラスルーフがもたらす明るい室内空間は、いまフランス車の世界をのぞいてみたい人にとって、世代ならではの面白さを伝えてくれる。
| ボディサイズ | 全長4,430 × 全幅1,760 × 全高1,640mm |
| ホイールベース | 2,710mm |
| 車両重量 | 約1,450kg |
| エンジン | 2.0L直4 |
| 最高出力 | 約137ps |
| 変速機 | 4速AT |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 7名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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