しなやかな『猫足』と素直な走りで愛された、90年代プジョーの名ハッチ。GTI-6やピニンファリーナ製カブリオレなど、多彩な顔を持つ一台である。
プジョー306は、1990年代のプジョーを代表する小型ハッチバックである。しなやかに動く足まわりと素直なハンドリングで知られ、価格帯を超えた走りの質感を持つ一台として、いまも語り継がれている。基本となる3ドアと5ドアのハッチバックに加え、セダン、ワゴン、そしてカブリオレまで幅広いボディが用意され、実用から趣味まで受け止める懐の深さを備えていた。
306は、309の後継として1993年に登場した。シトロエンZXと基本骨格を分け合うCセグメントの一台で、まず3ドアと5ドアのハッチバックが発売され、翌1994年にセダンとカブリオレが加わっている。生産は2002年まで続き、世界でおよそ300万台が送り出された。その役割は、のちに307へと受け継がれていく。
306の名を一段と高めたのが、走りに振った上級グレードである。スポーツモデルのS16に続き、クロスレシオの6速変速機とより強力なエンジンを与えられたGTI-6は、当時を代表するホットハッチのひとつとして高い評価を得た。イギリス向けには装備を絞って軽量化したラリーも設定され、モータースポーツの世界でも306は存在感を示している。
もうひとつの見どころが、ピニンファリーナが手がけたカブリオレである。205カブリオレの流れを汲む伸びやかなデザインは、屋根を開けたときの姿の美しさで知られた。1993年のフランクフルトモーターショーで公開され、1994年3月に発売、車体はイタリア・カンビアーノにあるピニンファリーナの工場で仕立てられた。
日本へも正規輸入され、猫足と呼ばれるしなやかな乗り味とともに迎えられた。とりわけ路面をいなしながら地面をつかんで走る感覚は、数値には表れにくい魅力として、多くの人にフランス車の面白さを印象づけた。
生産を終えてから長い時間が流れ、状態のよい個体は少しずつ貴重になりつつある。それでも、90年代のプジョーらしい素直な運動性能と、気取らないデザインは今なお色あせない。フランス車ならではの足まわりを味わってみたい人にとって、306は記憶に残る一台であり続けている。
| ボディサイズ | 全長3,995〜4,338 × 全幅1,680〜1,695mm(ボディ形状で異なる) |
| エンジン | 1.1〜2.0L 直4 |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 5名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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