両側の電動スライドドアと、着せ替えできる内装で個性を放った小型車。プジョーが初めて4桁の車名を与えた、ピニンファリーナ設計の意欲作である。
プジョー1007は、両側に電動スライドドアを備えた小型車である。二枚のスライドドアと四本のピラーで構成された独特のボディに、着せ替え感覚で内装の色を変えられる仕掛けを組み合わせ、実用性と遊び心をひとつにまとめ上げた一台だった。全長3,731×全幅1,686×全高1,610mmという背の高いコンパクトな体格で、狭い場所でも大きく開くスライドドアは、乗り降りのしやすさに直結していた。
車名は、プジョーとして初めて数字を4桁で並べたものだった。長く3桁の中央に0を挟む命名を続けてきたメーカーにとって、1007は新しい試みの名でもある。2004年に登場し、2005年春から欧州で販売が始まった。デザインはイタリアのピニンファリーナが手がけ、開発当初はMPV(多目的車)として位置づけられていた。
内装で最大の見どころが、カメレオと呼ばれる着せ替えの仕組みである。用意された色は12種類、シートまわりやダッシュボードなど18点のパーツを、時計を見ながらおよそ15分で付け替えられるとうたわれた。気分や季節で室内の雰囲気を変えられる発想は、当時としてもきわめて珍しいものだった。
動力系は206ゆずりの1.4リッターと1.6リッターの直列4気筒を中心に、変速機には2-Tronicと呼ばれる自動MTが用意された。クラッチ操作を機械が受け持つこの方式は、二枚の電動スライドドアの機構とあわせて1007の個性を形づくったが、いずれも手のかかる部分でもあった。不具合の報告が重なったこともあり、1007は数年という短い期間で2009年に生産を終えている。
日本にも輸入され、扱いやすい小さな輸入車として迎えられた。もっとも、電動スライドドアや自動MTは、こまめな手入れを前提とする機構でもある。接点の掃除や適切なオイル交換といった基本的な整備を続けていれば普通に付き合えた一方、そうした手間に不慣れな使われ方をされた個体では、不具合が目立ってしまった面もあったようだ。
手のかかる部分はあったにせよ、軽快な足まわりや、パドルでメリハリをつけて走る楽しさを惜しむ声は今も根強い。数多く売れた車ではなく、街で見かける機会も減ったが、フランス車ならではの発想と愛嬌を味わいたい人にとって、記憶に残る一台であり続けている。
| ボディサイズ | 全長3,731 × 全幅1,686 × 全高1,610mm |
| エンジン | 1.4・1.6L 直4 |
| トランスミッション | 2-Tronic(自動MT) |
| 駆動方式 | FF |
| 乗車定員 | 4名 |
※スペックは当時の代表的なグレードの概略です(編集部調べ)
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